30代で税理士への転職は可能?転職先を選ぶ時の注意点!

税理士 転職 30代
執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。


 税理士業界は、税理士になろうと勉強をはじめる新規参入者が年々減ってきており、税理士試験の受験者数も減少傾向にあります。

平成17年の税理士試験受験者数は56,314人であったのに対し、直近令和3年の受験者数は27,299人でした。特に近年、20代と30代の受験者数が減少し、この16年間で半分以下となっており、業界的に若い税理士は不足している状況です。

これに対して40代以上の税理士試験の受験者数はほぼ横ばいで、割合的には高年齢者が高くなってきています。税理士試験の科目別合格率は受験科目により変動はありますが、おおよそ10%前後と毎年一定であり、その中で総受験者数が減少してきているということは、当然合格人数も減少しています。

受験者数が減って合格者数も減っており、若い税理士志望者も減ってきている現状では、今後はより高齢化がすすむのではないかと考えられています。

そのため、若い税理士は業界的に非常に貴重な存在で、特に働き盛りの30代税理士は即戦力として期待ができるため、多くの場面で活躍が期待されています。

20-30代の税理士さんが減ってきちゃってるんですね…。


その分チャンスとも捉えられるんじゃないかな!

30代で税理士への転職はできるのか?

 税理士業界が高年齢化していきていることを考えれば、30代税理士の転職活動事情はそれほど厳しいものではありません。

 20代から業界に入って実務経験を積んだ上で税理士資格を取得したのであれば、実務経験年数も10年近くになりますので、若くて経験豊富として転職活動は有利に進められるでしょう。

●税理士資格を持っている人は重宝される

 転職活動では実務経験があると有利となりますが、未経験でも税理士資格を取得しているのであれば、税理士試験において若い人の合格者が減っているという実情を鑑みれば、採用される可能性はあります。

また税理士資格を取得後に、他業界から30代で税理士業界に転職するのであれば、他の業界で働いてきた経験や知識を活かすことで、税理士業に新たな付加価値が付与されることも期待されますので、税理士としての需要は高いでしょう。

税理士は税務の知識や経験だけでなく、広い視野が必要で、クライアントの属する業界特有の問題を解決したり、アドバイスをするということが喜ばれますので、事務所によっては他業界経験は転職時のメリットとなります。

●30代でも若手として判断される

 税理士資格を取得するにあたって年齢制限はありません。何歳からでも挑戦できる資格ですし、定年もありませんので、資格を取得してから生涯にわたって税理士として活躍できます。

転職する際も長期的に働く意思があれば、税理士が不足している業界の現状からも採用されやすいでしょう。

平均年齢が60代後半である税理士業界では、30代でも若手扱いですし、転職市場での価値は高いと言えます。

●過去の業務経験もアピールできる

 税理士資格を取得していることは大きなアドバンテージとなりますが、その他、コミュニケーション能力やマネジメント能力も評価される傾向にあります。

税理士はクライアントとのコミュニケーションの中で、クライアントの悩みや問題を見つけ出して解決へと導くことが期待されます。

また、税理士としての視点だけではなく、他の業界からの新しい視点や知識が求められることもあり、税理士事務所以外の経験が喜ばれることもあるでしょう。

過去の経験も生かせるんですね!


同じ業界にずっといなかった、っていうのがむしろ経験として評価されるのは嬉しいことだね!

30代で税理士に転職するためのポイント

 30代でも若手として扱われるため、税理士資格を取得していれば、他業界から税理士事務所への転職も可能です。

 ただ、業務内容の専門性が高いため、転職活動するにあたっては面接官にアピールすべきポイントがあります。

●税理士として活躍したい意思を見せる

 税理士業界が未経験であっても、転職に至った経緯や税務業務に携わりたい理由などを伝えることで、熱意をアピールすることが大事です。

特に面接時にはご自身の過去の経験をどのように税理士業務に活かすのかを具体的に伝えることで、あなたが今後事務所のメンバーとして活躍していくイメージを持ってもらえます。

そのためにはご自身の過去の経歴を洗い出し、自分の強みと弱みを分析し、他の人よりも突出したスキルや知識があることを、熱意を持ってアピールできるといいでしょう。

●税理士関連以外の経験も重要

 面接時に、実際に前職でお客様に喜んでもらえたエピソードなどを交えて話しをし、その成功体験から得たものなどを伝えることが重要です。

実例で仕事に対する姿勢や人となりを理解してもらうことで、事務所の方針や所長の考えと一致するかを判断してもらえます。

特に前職で培った経験が、税理士として今後活躍していくために必要なスキルとなるのであれば、プラスの評価に働きますので、どんどん積極的にアピールしていきましょう。

●未経験でも資格を持っていれば即戦力になれる

 30代で税務業務に携わったことがない人であっても、税理士資格を取得していれば重宝されるでしょう。

税理士試験で最終5科目に到達した試験合格者は年々減少傾向にあり、平成23年頃までは、税理士試験で税理士となった人数は毎年1,000人前後で合ったのに対し、令和3年の5科目合格者は585人と、約半分になっています。

さらにこの中から30代となるともっと少なくなりますし、業界が若手の税理士が不足しているというのも読み取れます。

そのため、令和5年からは会計科目の受験資格を撤廃し、だれでも受験できるように変わりますが、若手税理士が不足しているという状況はまだしばらくは続くと考えられますので、経験が浅くても税理士として採用される可能性は高いと言えるでしょう。

30代未経験の税理士が任される仕事とは?

 税理士事務所の仕事は毎月の定期的なものと季節的なものとに分かれます。経験がない場合は、まずは税理士事務所における1年間の仕事スケジュールを把握する必要があるため、少しづつ仕事を覚え担当を持ったりしながら、まず1年間をこなしていく流れが一般的です。

仕事の進め方は事務所によって多少違いますので、上司の指示に従いすすめるようにしましょう。

●事務所内の作業

 事務所の一般的な作業としては、クライアントの申告書類の作成や資料の整理などがあります。

クライアントから現物の紙資料を預かるのか、データで資料をもらうのかで整理の方法は大きく違いますが、どこに何の資料があるのかは誰が見てもわかるように整理整頓しておくことが必要です。

クライアントにも間違って破棄しないように、資料整理の指導をすることも重要です。 また申告書等の作成の他に、入力代行を受けている事務所であれば会計帳簿の作成も任されることとなります。

会計ソフトにより操作方法などの特徴はありますが、基本的な簿記のルールは同じなので、税理士資格を取得するまで勉強してきた知識があれば、それほど難しいものではありません。

未経験者であれば、最初は指導をしてもらいながらすすめていくことができますので、安心して仕事をすすめていくことができるでしょう。

●慣れてきたら顧問先を訪問

 仕事に慣れてくれば、担当を持ってクライアントを訪問したり、事務所に来所いただいて対面やオンラインで話をすることとなります。

基本的には入力した会計データを基に、定期的な現状の共有や報告と今後の数値予測や納税予測などをお話します。

その際にクライアントの今後の事業展開や資金需要などを確認し、それを織り込むことで今後の数値にどう影響するかなどをアドバイスしたりします。

その他、税務相談や経営相談なども受けることになりますので、その場で答えられなくても、調べたり、上司に相談して回答するよう真摯に対応しましょう。

クライアントと直接対話をすることで、クライアントが税理士に求めていることが分かりますし、事務所がどのような業務を行って報酬が発生しているのかが理解でき、今後のサービス向上にも活かせますので、クライアントとの対話はもっとも重要な業務です。

とても具体的でわかりやすいです!


仕事をイメージする上で本当に参考になるね!

30代で税理士事務所に転職する時の注意点

 税理士事務所の方針は、所長の考え方が大きく影響します(特に個人事務所)ので、事前の情報収集をして待遇を確認しておくのはもちろんのこと、代表者面接で代表者がどのような人物であるか、仕事にどのように影響するのかを推し量ることが重要です。

 事前の自己分析、情報収集と面接での直感が転職の成功を決定づけますので、事前準備をしっかりとして面接に臨むようにしましょう。

●求人応募の内容はしっかり確認しておく

 勤務時間や給与などの待遇は把握しておく必要があります。

また残業の有無も事前に確認しておいたほうがいいので、掲載情報を把握して、面接では実績に働かれている方がどれくらい残業されているかなどを聞いたり、事務所としての繁忙時期を聞いて、無理なく仕事ができそうか確認しましょう。

掲載情報からだけでは分からないこともありますので、掲載情報を鵜呑みにすると、希望通りの働き方が実現できない可能性がありますので、実際に運用されている現場の話をやんわりとでも聞いておくことをおすすめします。

いくつかの求人情報を比較して、業界や地域の相場を理解し、希望通りの働き方ができるかを面接で確認することが重要です。

●資格受験を目指すなら勉強との両立ができるか?

 税理士試験の合格には1年間コンスタントに勉強を継続する必要があるため、家族の理解と職場の理解と環境が重要です。

また5科目合格までに10年程度かかる例もあり、長期にわたって試験を受け続けることもあります。

そのため、税理士試験受験生のことを理解してくれる事務所が理想です。

仕事も勉強も計画をしっかりと立て、その通りにこなしていくようにすれば、両立することは可能ですし、そのためには事務所の残業がどれくらいあるのか、繁忙期はいつなのか、試験の直前期には1週間程度は休むことができるのかなど、お互いに条件をすり合わせし、事前に確認しておく必要があるでしょう。

●自分のレベルに合った事務所を選ぶ

 未経験の場合、最初から担当を持って全てをひとりでこなすことを期待される事務所や、特殊な業務を割り当てられる可能性がある、難易度の高い仕事を期待される事務所は避けるべきです。

できないことをできると言ったり、都合よく使われたりするとことは、お互いにとって不幸となりますので、転職活動をする際は、事前に情報収集をしっかりとして、ご自身が合格している科目を活かせる事務所を探すようにしましょう。

まとめ

 本記事では30代の税理士が転職する際の注意点を中心に、下記の項目について解説してきました。

  • ①30代で税理士への転職はできるのか?

  • ②30代で税理士に転職するためのポイント

  • ③30代未経験の税理士が任される仕事とは?

  • ④30代で税理士事務所に転職する時の注意点

 近年は、30代以下の税理士試験受験者数が大幅に減っているため、若手の業界参入者が非常に少ない状況となっており、30代で税理士資格を取得している人は転職活動を有利にすすめられます。

業界未経験であっても、求人情報に「未経験者歓迎」と掲載された事務所であれば、十分に採用される可能性はあり、今後の活躍次第ではキャリアアップも期待できる状況です。

30代未経験の場合は基本的な業務からはじめていくこととなりますが、税理士の独占業務である、税務相談や税務申告業務を一人でこなせるようになれば、より任される仕事も増えて、事務所になくてはならない存在として幹部候補となっていけます。

30代税理士の転職市場は売り手市場であるため、こちらからも相手のことを理解することに努め、気になることは何でも質問しながら、より自分にあった事務所探しを心がけましょう。

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