税理士が転職する理由は?転職先に伝える方法について!

税理士 転職理由 転職先
執筆 ・ 監修

城之内 楊

株式会社ミツカル代表取締役社長

株式会社ミツカル代表取締役社長。 1990年生まれ。20代では士業向けのコンサルティング会社(株式会社アックスコンサルティング)で最年少役員として8年間勤務。これまで、3,000以上の税理士事務所のコンサルティングや士業向けのセミナーに複数登壇。さらにはスタートアップから上場企業まで外部顧問や役員としても活躍する。 退職後、税理士業界を活性化するために、税理士事務所の採用支援サービスを展開する株式会社ミツカルを創業。ミツカルでは年間2,400名以上の税理士事務所の求職者をサポート。審査基準を通過した優良事務所のみを紹介しており、ミスマッチのない転職支援を行っている。


厚生労働省が公表している雇用動向調査によると、令和2年における1年間の就職者数は 7,103千人、離職者数は 7,272 千人となっており、就職者よりも離職者のほうが 168 千人多くなっています。

なお、年初の労働者数に対する割合の入職率は13.9%、離職率は%と14.2%となっており、労働者人口は年々減少してきているのが分かります。

税理士事務所の業務は一般企業とは異なり、専門的で特殊な内容のものが多く、教育体制や評価制度も無い事務所が多いため離職率は17%と高めです。2年~3年で離職してしまう人が多いのもその原因といけます。

そもそも、税理士資格を取得しようとする人は、将来的に自分で事務所を構えることを目的としている人が多いため、資格を取得して独立する人が多い業界でもあります。

その他、人数の少ない事務所で事務所内での人間関係が上手くいかなかったり、キャリアアップのためにより高度な業務を経験できる高待遇の他事務所へ転職する人が大半です。

そのため、3年後・5年後もずっと同じ事務所で働き続ける人は少なくなっており、税理士業界で長く働いていくためには、転職ありきで考えたほうがいいでしょう。

税理士さんの転職や独立を考える人は多いんですね!


そうだね!
どんな理由が多いのか見ていきましょう!



税理士の転職理由で多いのは?

税理士資格を取得するまでには、相当な努力と時間を要しますが、事務所によっては税理士資格が思ったよりも評価されないことがあります。

これは、複数の税理士を必要としないような小規模の事務所では、人件費が高くなりがちな税理士よりも、勉強中の科目合格者を選択しようとする傾向にあるからです。

そのため、税理士資格を取得する前であっても、待遇などについては考えておくべきでしょう。

残業が多く試験勉強ができない

税理士資格を取得するには相当な勉強が必要で、その時間を捻出するために仕事と勉強の両立が必要です。

事務所によっては残業が当たり前で、勉強時間を確保することが難しいこともあり、本気で税理士資格を取得しようとする人は転職を希望するケースが多いです。

また、一般的な税理士事務所の繁忙期である12月から5月は、いかにスキマ時間で効率よく勉強を継続するかが大事になるので、その余力を残して仕事をすることも大事です。(12月は年末調整、1月は法定調書合計表・償却資産税申告、2~3月は所得税の確定申告等、4~5月は法人税の決算申告(3月決算)と繁忙期が続きます。)

このように、仕事をしながら勉強時間を確保するのは容易ではなく、税理士資格を取得するには、税理士受験生の実情を理解してくれる転職先を探すことが重要です。

希望通りの仕事ができなかった

事務所によって、業務内容はさまざまであり、自分のしたい仕事ができるとは限りません。

税理士資格を取得して、自分の責任で仕事ができるようになったとしても、事務所がそれを許してくれないこともあり、税理士になってやりたいと考えていた仕事ができないこともあります。

また、転職する際に仕事内容をしっかりと確認しておくことも重要で、転職してから思っていた仕事内容と違うため、再度転職を検討するという声もよく耳にします。

お互いにとって不幸な転職とならないよう、事前にしっかりと調査をして、面接ではしっかりと事務所の業務内容と自分に求められる役割などを確認しておくことが重要です。

ワークライフバランスを整えたかった

近年、転職理由でよく聞くのが「仕事とプライベートのバランスをとりたい」です。

仕事が忙しい事務所で働く場合、給与待遇はいいですが残業が多くて休みは取りにくい傾向にあります。

プライベートの時間を大事にしたいと考える場合は、事前に月あたりの残業時間がどれくらいになるのかを確認しておきましょう。

事務所の業務内容によって繁忙期は変わりますが、繁忙期は終業時間に帰れないことが多くなりますので、その事務所の繁忙期がいつなのか、そしてどれくらいの残業時間が予想されるのかを確認しておきましょう。

その他のよくある転職理由

 資格を取得するか仕事量が大幅に増えない限り、急激に年収があがることはありません。

特に小規模な事務所では評価制度がないことも多く、直近2~3年で年収がほとんど変わらず、頑張っても評価されないのでやりがいを感じないという声もよく聞きます。

また、所長がワンマンの事務所の場合、事務所の方針は所長次第であるため、言っていることがコロコロ変わり振り回されるといったことや、所内に派閥やお局的な存在がいるため、仕事以外のことで気疲れするということも転職理由としてよくあります。

こういった場合は、仕事に集中できる環境を探さないといけないので、転職を考える必要があるでしょう。

税理士が転職希望先に転職理由を伝えるためには?

今や終身雇用は期待できない時代となり、転職することが当たり前となってきました。

特に税理士業界は転職が多い業界でもあり、人生で何度かは転職を検討する機会はあるでしょう。

転職活動においては、真面目さだけをアピールするのではなく、その他にも面接のポイントはありますので、ここではそのポイントをお話していきます。

転職先の魅力を明確に伝える

転職活動する際は、なぜ転職を希望するのか、なぜこの事務所で働きたいのかを伝えることで面接官の印象は良くなるので、事前に事務所のホームページなどから、事務所の特徴や魅力をリサーチしておくことは必要です。

転職先がどのような業務を中心に行っているのか、それに対して自分の持つスキルがどう役に立つのかなど、面接官が具体的に活躍する姿をイメージできるようにアピールができれば、採用される可能性はグッと高くなるでしょう。

それが明確な内容で合理的であるほど、転職先の好感が得られますので、伝えるべきことは事前に整理しておきます。

今までの経験を踏まえて説明する

今まで転職前の事務所で、どのような業務を行っていたのかを面接前に提出する職務経歴書などで詳細に伝え、面接でも具体的なエピソードを交えて話しましょう。

転職先の事務所が前職と同じような業務内容であれば、即戦力として迎え入れてもらえる可能性は高くなります。

今まで培ってきた経験や知識を使って、転職先での仕事においてどのように貢献ができるのか明確にすることが重要です。

ポジティブな理由にすることが大切

実際の転職理由として多いのは、給与待遇に対する不満、人間関係が上手くいかない、業務量が多い、毎日残業がある、などネガティブなものが多いです。

しかし、これをそのまま正直に伝えると、もし採用しても同じような理由があれば辞めてしまうのではないかと考え、採用されない可能性が高くなります。

そのため、お客様と直接関わる仕事がしたい、自分のキャリアアップのためなど、相手方が懸念するようなポイントには触れず、ポジティブな理由で転職をしようとしていることを伝えるのが大事です。

具体的なエピソードや経験が伝えられるのは印象が一気に変わりそうだね!

想像しただけでかっこいいです!


税理士が転職する時に注意したいポイント

税理士に期待される業務が科目合格者と変わらない場合もありますが、税理士にはより高レベルな仕事を担当してもらいたいと考える先も多いでしょう。

転職理由は複数あってもいいですが、事務所の特徴に合わせて変えることも必要です。

転職希望している事務所にしかない転職理由にする

キャリアアップのためなど、ポジティブな転職理由であることは必要ですが、他の事務所に対しても言えるような転職理由では、大きなアピールになりません。

そのため、事前にその事務所が強みとしている業務内容などをホームページなどから探り出し、その業務に携わりたい理由などを話すようにすることがベストです。

その事務所独自の魅力と感じる部分をはっきり伝えることで、面接官の印象に残りやすいでしょう。

自分のメリットだけを伝えてはいけない

転職のメリットを、あなただけではなく事務所側にもあることを伝えることができれば、有利になるでしょう。

そのためには、事務所の得意とする業務や求める人物像を分析し、自分がそれに当てはまるということを伝えます。

その事務所で活躍できる姿をイメージでき、働きたいという意思と熱意が伝われば、採用される確率は上がるでしょう。

また、最後に多少の雑談を交え、誰とでもコミュニケーションがスムーズにできるという部分もアピールしておくと、相手の印象に残りやすいです。

税理士が転職を成功させるために必要なことは?

転職を成功させるためには、事前準備が重要です。

面接時によく聞かれる質問などはありますので、基本的なことをおさえて面接に臨むようにしましょう。

面接は事前準備がすべてなので、ぶっつけ本番ではなくて事前にいろいろと調べて分析しておくことが重要です。

自己分析と事前調査を入念に行う

自身の過去の経験を洗い出し、あなたがどのような業務をこなすことができるのか、そして今後はどのような業務に携わりたいのかを明確にしておく必要があります。

まずは自己分析をすることで、何ができて何をしたいのかがはっきりしますので、転職先の事務所候補も自然と見つかるでしょう。

転職理由の多くは、実際に働いてみてから、思っていた仕事内容と違うなどのギャップが発生することによりますので、自己分析と事前調査をしっかりとすることで、自分にあった転職先を見つけることができるでしょう。

履歴書や面接対策を行っておく

転職先の事務所候補が見つかれば求人に応募し、多くは書類選考に進みます。

書類選考では、主に過去の経歴を見てどのような知識を持っているのか、どのような学歴や職歴(事務所経験)があるのかを確認されます。

職歴については、転職回数が多ければ今後もすぐに辞めてしまうかもしれないと考えられますので、転職回数が多いことの理由も書いておくことが重要です。

職務経験がある場合、多くは職務経歴書で職務経験について細かく書くことができますので、今まで携わった業務については網羅的に書いておきましょう。

履歴書と職務経歴書の完成度を高めれば、採用される可能性が高くなります。

また、ペーパーレス化しているような事務所に転職しようとする際は、手書きの履歴書等は敬遠されます。

事務所の特性に合わせて、データ化した書類を送るようにしましょう。

面接は、まず履歴書等に書かれた内容を中心に質問がされます。

最低限、自分で書いた内容についての質問には応えられるように、事前に回答できるように準備しておくことが必要です。

税理士向けの転職サイトを利用する

転職先探しを効率的に行うため、税理士の求人情報を専門に取り扱っている転職サイトを利用しましょう。

ハローワークなどの求人には出ていない、希望通りの求人が見つかる可能性があります。

転職サイトの求人検索は、調べたい情報のみをソートして、複数の求人を比較することができますので、業務内容別、地域別などで検索して待遇の相場を調べることも重要です。

転職サイトを有効活用して、理想的な転職先をいくつかピックアップしましょう。

転職理由で多かった条件の違いを避けるためにも専門の転職サイトがいいね!

理想的な転職先を見つけれる税理士さんが増えるといいですね…!


まとめ

本記事では税理士が転職する際の注意点を中心に、下記の項目について解説してきました。

  • 税理士の転職理由で多いのは?

  • 税理士が転職希望先に転職理由を伝えるためには?

  • 税理士が転職する時に注意したいポイント

  • 税理士が転職を成功させるために必要なことは?

 税理士の転職理由として多いのは、残業時間が多い、希望する仕事ができない、ワークライフバランスを取りたい、評価されないためやりがいを感じない、仕事以外のことで気疲れするなどです。

税理士であれば、自分のしたい仕事や時間単価の高い仕事を探すことが多く、それを実現して継続させるためには、職場の環境が整っていることが必要となります。

科目合格者の場合は、勉強時間を確保することが重要で、残業時間が少ない事務所を探すことが重要です。

また、相続や財務コンサル・MAS業務等は、小規模な事務所では取り扱っていないことも多いため、このような業務経験を積んでいきたいと考える方が、中規模以上の事務所へ転職をするというパターンも増えてきています。こういった特殊な業務を行えるようになることで、大幅な年収アップも望めるでしょう。

税理士業界は、現在売り手市場であるため転職活動は有利に進められます。

その中でさらに転職を有利にすすめるためには、ポジティブな転職理由を用意しておくことが重要であり、あなたが転職先で活躍する姿をイメージしてもらうことが大事です。

また、転職することのメリットは、自分だけでなく転職先にもあると思ってもらう必要があり、転職を成功させるためには、自己分析と事前調査がカギとなります。

そして、自分の知識や経験とマッチする事務所を探すために転職サイトを有効に活用することも大事です。

転職サイトの種類は多くありますが、税理士募集が多くあるサイトを選択し、ご自身の転職先に求める条件でソートして検索比較をおこない、妥協することなく時間をかけて探すことで、より良い自分に合った転職先を見つけましょう。


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